近年、退職代行業者を利用する社員が急増しており、これが企業の人材確保に新たな課題をもたらしています。
東京商工リサーチ(TSR)の調査によれば、大企業の約2割、中小企業の8.3%が退職代行業者からの退職手続きの要請を経験しています。
この現象は全体で約1割の企業に及び、社員の退職代行利用が急速に広がっていることを示しています。
この記事では、退職代行が広がる理由と利用が多い業種について解説していきます。
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なぜ退職代行が広がるのか?
退職代行の利用増加の背景には、
- 職場環境の比較が容易になった
- 複雑な人間関係
- 働くことへの意識の変化
などが挙げられます。
SNSの普及により、社員は他の職場環境と自社を簡単に比較できるようになり、劣悪な環境や人間関係のトラブルを避けるために退職を決断しやすくなっています。
さらに、転職市場の活性化や働き方改革の推進により、転職への心理的ハードルが下がり、退職時の煩わしさを省ける退職代行業者の登場が、その流れを後押ししています。
「円満退職」という従来の常識が通じなくなりつつありますね。
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人材確保のための企業の新たな取り組み
このような状況下で、企業は新規採用や離職防止のために様々な施策を講じています。
TSRの調査によると、人材確保の施策として最も多かったのは「賃上げ」で、全体の73.5%の企業が実施しています。
特に大企業では84.9%が賃上げを行っており、中小企業の72.2%を上回っています。
しかし、賃上げだけでは退職を止める決定打にはなっていません。
中小企業では「休暇日数の増加」を前面に打ち出し、25.2%の企業が実施しています。これに対し、大企業では17.7%にとどまっています。
中小企業は休暇日数の増加や福利厚生の改善を進め、採用活動での競争力を高めています。
その他の施策としては、
- 社内レクリエーションの実施
- テレワークの導入
- リスキリングに関する補助の充実
などがあり、社員の働きやすさを多方面から改善しようとする動きが見られます。
退職代行の利用が多い業種は?
退職代行を利用する社員が多い業種としては、美容・理容業やクリーニング業を含む「洗濯・理容・美容・浴場業」が挙げられます。
次いで、百貨店などを含む「各種商品小売業」、旅館やホテルなどを含む「宿泊業」が続きます。
これらの業種は消費者と直接対面する接客業や販売業であり、職場環境や人間関係が退職の大きな要因となることが多いと考えられます。
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終身雇用からの脱却!新たな発想で人材確保を
2024年春闘では、大企業の満額回答が相次ぎましたが、中小企業は賃上げが低調にとどまり、人手不足を補う求人策も後手を余儀なくされています。
求職者の仕事選びの基準は多様化しており、企業は『終身雇用』や『石の上にも3年』といった従来の感覚から脱却し、新しい発想で問題を解決する必要があります。
企業は、人材確保の取り組みを見直し、社員や学生の意識の変化を取り入れた人事戦略を練り直すことが求められています。
例えば、賃上げや休暇日数の増加だけでなく、職場環境の改善や人間関係の円滑化を図る取り組みも重要です。
また、社員のキャリア形成を支援し、働きやすい環境を整えることで、退職を防止し、優秀な人材を確保することができるでしょう。
まとめ
この記事では、退職代行が広がる理由と利用が多い業種について解説しました。
退職代行の利用が広がる中で、企業は新たな人材確保戦略を模索しています。
賃上げや休暇日数の増加などの従来の施策に加え、職場環境の改善や社員のキャリア形成支援など、多方面から働きやすさを追求する必要があります。
企業は今一度、自社の人事戦略を見直し、変化する労働市場に対応するための新たな取り組みを進めるべきです。
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