『どついたるねん』は、挫折と再起をかけてボクシングに挑む主人公・安達の姿を描いた人間ドラマです。
元プロボクサー赤井英和が体現する、リング上でのリアルな迫力と泥臭い生き様が、見る者の心を深く揺さぶります。
阪本順治監督のデビュー作として、関西の下町の雰囲気と生々しい人間模様が重なり、リアルで骨太な魅力を放つ必見の映画です。
ブルーリボン賞最優秀作品賞等、数々の映画賞を受賞。
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どついたるねんの概要
「どついたるねん」は、1989年に公開された日本映画で、阪本順治監督のデビュー作です。
ボクシングを題材に、破天荒で反骨精神あふれる主人公の姿を描いたリアルで荒削りなヒューマンドラマです。
1989年製作/110分/日本
劇場公開日:1989年11月11日
どついたるねんのあらすじ
物語の主人公は、挫折を重ねながらもボクシングの道に人生を賭ける安達英志(演:赤井英和)。
かつてはボクシング界の有望選手だったものの、無頼で粗暴な性格が災いし、スランプに陥り、リングから遠ざかっていました。
そんな彼が再びボクシングへの情熱を燃やし、再起をかけたトレーニングに励むことを決意します。
しかし、思い通りにならない現実や自分自身との葛藤に悩まされ、度々トラブルを引き起こします。
物語は、安達がリングに戻るまでの過酷な日々と、その中で出会う仲間や周囲の人々との関わりを描きます。
勝ち負けを超えた人間的な成長や、何度倒されても立ち上がる意地と情熱が、彼を突き動かしていくのです。
どついたるねんのスタッフ・キャスト
監督:阪本順治
脚本:阪本順治
キャスト:赤井英和/原田芳雄/相楽晴子/麿赤児/大和武士
どついたるねんの見どころ
どついたるねんの見どころは、
赤井英和のリアルなボクシングシーン
赤井英和が元プロボクサーということもあり、ボクシングの試合シーンは圧巻のリアリティ。
リング上での動きや表情、痛みを感じるような描写が見どころです。
試合の緊張感や荒削りな打ち合いが観客を引き込む迫力に満ちています。
阪本順治監督のデビュー作ならではのエネルギー
阪本監督のデビュー作として、未熟さが逆に映画の熱気を生んでおり、荒々しく力強い演出が印象的です。
まるでドキュメンタリーのようなリアルさを感じさせ、観客を映画の世界に没入させます。
人間の泥臭い部分を描くリアルな人間ドラマ
「どついたるねん」は単なるスポーツ映画にとどまらず、挫折、葛藤、人間関係、自己との戦いといったリアルな人間ドラマが色濃く描かれています。
何度も転んでも立ち上がる主人公の姿が、人生における粘り強さや根性の大切さを教えてくれます。
関西の風景と方言が生む独特の雰囲気
関西を舞台にした作品で、登場人物たちが関西弁でやり取りするのも特徴です。
大阪の街並みと関西特有の空気感がリアルに表現され、映画に独自の味わいを加えています。
『どついたるねん』は、ただのボクシング映画ではなく、何度倒されても立ち上がる人間の強さや、生き方の不器用さを描いた作品。荒削りながらも真摯に生きる主人公の姿は、観る人の心に熱い思いを呼び起こします。
どついたるねんの感想
『どついたるねん』を観てまず感じたのは、ボクシング映画っていう枠をはるかに超えた「泥臭さ」と「生々しさ」。主人公の安達を演じた赤井英和が本当にリアルで、まるでドキュメンタリーを見ているかのようだった。特に、元プロボクサーの赤井自身のキャリアがこの役に滲み出てて、彼のパンチや表情の一つひとつが“本物”の迫力。トレーニングや試合のシーンのガチ感は、並の俳優では絶対に出せないものだと思う。
物語自体はボクシングで再起を目指す男のサクセスストーリーなんだけど、決して派手な成功や輝かしい栄光を描いてるわけじゃない。むしろ、どん底から這い上がろうともがく様子や、時に自分に負けそうになる人間らしい部分が強調されている。彼の人生そのものがボクシングの試合みたいに痛々しくて、毎日のように殴られ倒されて、それでも諦めずに立ち上がる姿には胸が熱くなる。
監督の阪本順治の演出も見事で、大阪の下町のリアルな雰囲気や、そこで生きる人たちの生っぽさをそのまま画面に叩きつけてくる。登場人物たちが関西弁でやり取りするのも、温かみがあって独特。決して上品ではないけれど、その粗野なやりとりが映画全体の空気感をさらに盛り上げてるんだよね。正直、都会的で洗練された映画ではないけど、そのぶん「人間臭さ」が詰まってて、見る側も自然と共感できてくる。
特に印象に残ったのは、安達の「無茶苦茶」なところ。普通なら一度や二度の挫折で諦めてしまいそうなのに、何度もリングに戻るんだよね。彼にとって、ボクシングは単なるスポーツじゃなくて、生きるための「執念」のようなもの。負け続けても諦めない姿に、不器用だけど真っ直ぐな強さが垣間見える。この映画を観ていると、自分も「何かに本気でぶつかりたい」っていう気持ちが自然と湧いてくるんだ。
それと、脇を固めるキャストも素晴らしい。原田芳雄や麿赤児といった共演者たちが、またいい味出してる。特に、脇役としての存在感が安達を引き立てているところが見事で、彼の周りの人間関係が、映画に人情味や温かみをプラスしている。単に孤独な男の戦いを描くだけじゃなく、人と人の絆が織り成すドラマが、この映画をより深いものにしていると思う。
総じて言えば、『どついたるねん』は成功やカッコよさを描くのではなく、むしろ失敗や痛みを真正面から映し出した映画。何かに向かって突っ走り、傷つきながらも立ち上がる人間の姿には、感情を揺さぶられるものがあった。
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